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新しいカメラを手に入れる

 

父のフィルムカメラに触れた小学生の頃から

全てデジタルに変わってしまった

この35年余り

 

性能や技術は大きく進化する

驚きの深みに溺れながら

玩具を与えられた大人は童子の様にそれを離さない。

 

やや浅いむかし

デジタルに移行するときの過渡期が印象深い

それは

 

フィルムを必要としなくなるカメラ

技術を詰め込みながら形態とデザインの自由度が拡張して

持ち方を変えてしまったり

撮り方をも変えてしまったり

 

それが今

一旦広がったその自由度が密度を高めながら還元された

 「やっぱりこうだよね」の触感

 

ファインダーを覗いてシャッターを押す

35年前の所作と同じながら

クラシカルではなく

進行形的な懐古

複雑さを減らして「カメラ然」となる肖像

 

それがうれしい。

 

 

 

偏 執

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保守的なわけではなく

好奇心がなくなったわけでもなく

 

集めてみたら偏っている

 

自分の嗜好の現れとして

冒険する必要がそこにはないと思う時

 

迷いが薄れながら

より細部への注視と感度が高まるのだけど

 

側から見れば大差はなく

どれも同じ

 

「らしさ」という

ぼんやりと少々曖昧でありながら

重さを帯び

そこに動きを止めるかの様な

 

気付かれない程度のことに

ちょっと気付いて欲しい

 

ワガママさの相関。

 

 

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千年後の百人一首清川あさみ + 最果タヒ 著/リトルモア:出版

 

小学生の頃

押し込む様に憶えたそれは

 

歌に置かれた意味も訳も

そこにある表現や感情がまったくわからないまま

 

30年経ったいま

まるで微粒子の断片でありながら

砂を掻く様に集めて握ってみると

 

いままでの経験のあんなことやこんなことが

ツナギとなって

ぎゅっと歌になる

 

この歳になって読むそれぞれの歌が

とても切なく

とても美しく

音叉を叩く様に鮮やかに響く

 

ぐっと涙が湧く

 

潤った。