ノンフィクションライターが書いているのだから
それなりの裏付けがあることに期待しつつ
その期待は
見事に煽りを膨らませながら
北斎という巨人の魅力に尚も惹き込まれる
もっと知りたい気持ち
浮世版画に見る風景の数々
源泉となる景色や場所は具体的に在りながら
脚色を高めた構図
迫力を増すバランス構成が相まって
情緒や緊張感を備える絵として仕上がっていて
江戸時代にして「デザイン」という意図を為している
自ら楽しむかの様に
売れぬ食えぬの心を抱いて描く絵では
初めから問題にならぬ
知らず知らずに売るための絵を描いていた
売るための絵を描いてはならぬ
売れる絵でなければ
世間の眼は正しいのだ
という言葉
商業と自分とを結ぶ立ち位置
これこそデザイナーの観点
1806年
時に北斎47歳
「葛飾北斎」と名乗り出したという
いまの自分と同い年
占いに似た刺激の様な
勝手にシビレている。