Carouschka's TICKETS : testadra 出版
なくさない様にして自分で持っていなさい
親にそう言われて緊張しながら握っていた切符
少し成長できた気がして
なんだか嬉しかった
改札員が刻むハサミの空打ち
小気味よく
懐かしい記憶の音
自動改札にも驚いた一時を経て
キャッシュレスやチケットレスの技術は
生活の様式というか
旅の気概までも変えてしまった昨今
最後に切符を買ったのは
何年前のことだろう?
いろいろな国を歩き回った20代の頃
その時に使った切符は
今も箱の中にたくさん残っている
英語圏ではない国で
行きたい先を伝えることに難儀しながら切符を買った経験も
それはとても刺激的で
切符にもデザインがある
国柄というか
その国の気配りというか
携帯するのに適した大きさの紙面の中に
文字や数字やイラストや
適量のしっかりした情報を落とし込む
それ以上でもそれ以下でもない
見事な構成
眺めていると胸が躍る
スウェーデンの建築家/アーティスト Carouschka Streijiffert が
30年間に使って持ち帰った記録
切符しか載っていない写真集を
久しぶりに眺める
いま
世界のどれくらいの国に切符が残っているのだろう?
この紙切れは何?
そう問われる時が来るはずで
なんとも複雑な気持ち。